Columnコラム
真壁とは何か?メリット・デメリットと和モダンへの応用を解説
和風の壁には大壁と真壁があるのですが、真壁が和モダンに使われているケースが少なくありません。
そのため、これから和の要素を取り入れた家づくりをする人にとっては、真壁についての知識が不可欠でしょう。
そこで、ここでは真壁を取り上げ、メリット・デメリット、そして和モダンを作る例について紹介しましょう。
真壁とは
冒頭で和風の壁には大壁と真壁があることを述べましたが、両者にはどのような相違があるのでしょうか。
真壁を最初に取り上げ、その上で大壁との違いを解説します。
真壁とは
真壁とは和風建築において、柱や梁などの間の部分に設けられる壁です。柱などの構造部材が室内にも見えるので、洋風建築とは違った独特の空間ができます。木の風合いと壁材のコラボレーションが楽しめる壁とも言えるでしょう。
ちなみに、一般の家では柱をはじめとした構造部材は見えません。目に入るのは壁紙が貼られた壁が見えるだけです。
大壁との違い
和風建築の壁には真壁と大壁があります。同じ壁であっても両者は構造的に異なります。
真壁は構造材の間に壁を設けますが、大壁は柱の表面を内装材で覆います。そのため、柱は室内に露出されません。
ちなみに、この違いは内装の印象を大きく変えます。大壁はシンプルな平面になりますし、真壁は部材が露出されるので、部屋に変化が生まれます。
真壁のメリット
ここで真壁のメリットを取り上げましょう。
真壁の魅力が感じられると思います。
木の温かみが感じられる
木は昔から使われていた素材で、今でも人気も非常に高いです。木造住宅が多い点も、その現れの1つとも考えられます。
さて、真壁は柱をはじめとする構造材が室内に現れる壁。そのため、木が室内に露出するため木の温かみを感じられます。木に安らぎを感じる人にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
ちなみに、構造材の木目の表情は独特です。部屋の作りにもよりますが、オリジナリティ性の高い部屋が作れます。
高級感を演出できる
真壁は高級感の演出が可能です。
一般の住宅の壁紙は飽きの来ないメリットがあるのですが、面白みに欠けています。また、無難なデザインのため、高級感はありません。
その点、真壁は木と壁の組み合わせが魅力で高級感があります。
ちなみに、木は年月が経つと独特の味わいと風格が出てきます。その点、壁紙であれば年月が経つと日に焼けてしまい、古ぼけるだけです。その点では真壁とは大違いです。
漆喰などとの相性が良い
真壁は漆喰などとの相性が良いのも特徴です。
漆喰は古来より使われている壁材ですが、今でもファンが多い素材です。漆喰で作る部屋は清潔感がありますので、一枚上手の部屋作りができることでしょう。
ちなみに、漆喰には調湿機能があり、室内の空気環境を良くします。しかも漆喰は天然素材です。優しい室内環境ができるので、子供を育てる世帯にもおすすめです。
洋室にも応用が可能
真壁は和室の壁です。
しかし、和室としてしか作れない訳ではありません。洋室にも応用が可能です。
例えば、天然木の無垢フローリング材と漆喰の真壁を合わせると、和のテイストと洋室の魅力を融合させたスタイリッシュな空間ができます。そこに本棚などの造作家具を加えれば、非常に魅力的な空間となるでしょう。
ちなみに、この組み合わせをリビングダイニングキッチンに応用すれば、リビングがおしゃれなカフェのようになります。家に居ながらにしてカフェの空間…魅力的です。
真壁のデメリット
このように、真壁には魅力的なメリットがあるのですが、それと同時にデメリットもあります。
それでは、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
ここでは真壁のデメリットを挙げて解説しましょう。
断熱性で大壁に劣る場合がある
大壁と比較するならば、真壁は断熱性で劣る場合が考えられます。
これは断熱性を入れるスペースの問題。大壁であれば壁の構造材の厚みの分だけ断熱材を仕込むことは可能ですが、真壁の場合はこれほどの断熱材を入れることは困難です。仮に、断熱性能を確保しようとするならば、ランクが上の断熱材を使わなければならず、コストが上がってしまいます。
耐震性で大壁に劣る場合がある
大壁は構造材にパネルを張って作ります。そして、その部分は耐力壁にもなり、耐震性を発揮します。
しかし、真壁はパネルを使わないので、パネルの場合よりも耐震性の点で不利です。
ちなみに、状況にもよりますが、壁の少ない建物に地震が襲い掛かった場合、建物がねじれて壊れるケースもあります。「ねじれ」は意外かも知れませんが、建物が破壊するので危険です。
費用が上がりやすい
真壁は構造部材の間に壁を作る作業が必要です。
柱にボードを張る壁よりも施工の手間が掛かるので費用が上がります。
しかも、漆喰などを使って塗り壁にした場合にはコストが更に上がります。真壁を使った空間は、コストパフォーマンスの面では弱いのです。
真壁で作る和モダン
真壁には以上のようなメリットとデメリットがあるのですが、どのような応用があるのでしょうか。
そこで、ここでは凡例として和モダンのテイストについて紹介しましょう。
木のぬくもりを前面に出した和モダン
真壁は構造部分の木部材が露出する壁。この木の部分を活用して「木のぬくもり」を前面に出した和モダンが作れます。
例えば、真壁の木部材のテイストに合わせた無垢フローリングなど。木目や色調などでコーディネートができれば、おしゃれな和モダンの空間が出来上がります。
また、これに合わせるイメージで造作家具を作れば利便性もアップします。おしゃれと利便性を両立させた和モダンが出来上がるのです。
構造材をデザインの一部にした和モダン
真壁は柱や梁を露出させたインテリアです。構造部材がデザインのポイントとも言えます。
さて、この構造部材に併せて天井部分の構造部材を露出させると、縦方向に広々とした空間ができます。
そして、漆喰壁を使えば和の要素が強くなって、広々とした和モダンのテイストのスペースに仕上がります。
住宅を広く見せるためには空間を大きくすることがポイントですが、真壁と天井裏の構造材のミックスは空間演出に非常に有効。和モダンの空間を更に広くして素敵な場所にするのです。
畳とのコラボレーション
畳は和のテイストの最たるアイテムと言えるかも知れません。実際、フローリングのLDKに畳を敷くだけでも「和のコーナー」はできてしまいます。
さて、真壁のあるフローリングの部屋にも畳を配置すれば和モダンの味が出ます。畳と真壁が調和して和のテイストを作り上げるのです。
ちなみに、高級な畳は香りも一級品です。せっかくのマイホーム、一級品の畳でより良い空間を作ってはいかがでしょうか。
木材について
今の木造住宅の構造材は集成材がメインです。集成材は節などを取り除いて接着した部材なので、木の風合いは半減しています。
真壁は魅力的ではあるのですが、集成材による構造は寂しさを感じる可能性があります。
まとめ
真壁についてメリット・デメリットを中心に取り上げました。
単なる壁にしか思えない部分に、メリットとデメリットがあることが意外だったのではないかと思います。
また、和モダンの要素にもなることも分かったことだと思います。
家作りはアイデア次第で可能性が膨らみます。真壁に関してもアイデアを出せば違うテイストに変更は可能。ぜひとも真壁を利用した居場所作りをしてみてください。