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新築住宅を建てるなら知っておきたい「工法の違い」と選び方|木造、鉄骨造、RC造とは?

新築住宅を建てるなら知っておきたい「工法の違い」と選び方|木造、鉄骨造、RC造とは?
新築住宅を建てるにあたって「木造住宅が当たり前」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、住宅の構造は木造以外にも鉄骨造やRC造などがあり、工法によって異なるメリット・デメリットがあります。
この記事では、マイホームを検討している方に向けて、工法の基本や違い、選び方などを詳しく解説します。
新築住宅の工法の基本|木造、鉄骨造、RC造とは?
大切なマイホームを建てるなら、住宅の工法の基本は押さえておきたいところです。ここでは、日本の住宅で主に用いられる木造、鉄骨造、RC造の特徴を見ていきましょう。
木造の特徴
柱や梁などの主要構造部を、木材で組み立てるのが木造(W造)です。森林資源が豊富な日本では昔から広く取り入れられてきた工法であり、現在でも戸建て建築の主流となっています。
木造には、大きく分けて「木造軸組工法(在来工法)」と「木造枠組壁工法(2×4工法)」の2つの工法があります。
木造軸組工法
(在来工法) |
・柱、梁、筋交で骨組みを作り、建物を点と線で支える工法
・日本の伝統的な工法であることから「在来工法」と呼ばれる ・構造上の制約が少なく、間取り変更や増改築がしやすい |
木造枠組壁工法
(2×4工法) |
・角材で作った枠に合板を付けた壁を組み合わせ、建物を面で支える工法
・枠材に2インチ×4インチの角材を使うものが「2×4(ツーバイフォー)工法」と呼ばれる ・木造軸組工法に比べて気密性や断熱性で有利な反面、大胆な間取り変更はしにくい |
鉄骨造の特徴
柱や梁などの主要構造部を、鉄や鋼で作られた鉄骨で組み立てるのが鉄骨造(S造)です。鉄骨造は、使用する鋼材の厚みによって「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」に分けられます。それぞれの特徴をまとめたのが以下の表です。
重量鉄骨造 | ・厚さ6mm以上の鋼材を使う鉄骨造
・おおむね3階建て以上のマンションやビルで採用されるケースが多い ・軽量鉄骨造に比べて間取りの自由度が高い反面、建築コストが高くなりやすい |
軽量鉄骨造 | ・厚さ6mm未満の鋼材を使う鉄骨造
・おおむね2階建てまでの戸建て住宅や小規模店舗などに使われるケースが多い ・建築コストや工期を抑えやすいが、柱の本数を増やす必要があり、重量鉄骨造ほどの自由度はない |
RC(鉄筋コンクリート)造の特徴
RC造とは「鉄筋コンクリート造」のことであり、柱や梁などの主要構造部に、鉄筋で補強したコンクリートを使用する工法です。鉄筋で枠型を作ったところに、コンクリートを流し込むことで柱や梁を形作っていきます。
コンクリートは木材などに比べて重い素材のため、戸建てというよりは、一定以上の規模があるマンションやビルの建築で採用されるケースが一般的です。
各工法のメリットとデメリットを比較
木造、鉄骨造、RC造には異なるメリット・デメリットがあります。まず、各工法の特徴を簡単な比較表で見てみましょう。
工法 | コスト | 耐震性 | 耐火性 | 断熱性 | 耐久性 | 遮音性 |
木造 | ◎ | ◯ | △ | ◎ | △ | △ |
軽量鉄骨造 | ◎ | ◯ | △ | ◯ | ◯ | △ |
重量鉄骨造 | △ | ◎ | ◯ | ◯ | ◎ | △ |
RC造 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
以下では、工法ごとのメリット・デメリットを詳しく解説します。
木造のメリットとデメリット
木造のメリット | ・ほかの工法に比べて建築費を抑えやすい
・断熱性、気密性、調湿性に優れている ・木材は重量が軽いため、耐震性を確保しやすい ・木材は燃え尽きるまでに時間がかかるため、火災が起きても建物が倒壊しにくい |
木造のデメリット | ・ほかの工法に比べて遮音性が低い
・シロアリによる食害、湿気やカビによる腐食などで劣化しやすい ・RC造や重量鉄骨造などに比べて耐火性が劣る傾向にある |
木造は、断熱性や気密性、調湿性といった住環境に関係する性能に優れている点が特徴です。夏は高温多湿、冬は寒冷という日本の気候にマッチしている一方、木材ゆえに、害虫や湿気による劣化が起こりやすいというデメリットがあります。
鉄骨造のメリットとデメリット
鉄骨造のメリット | ・鉄骨は工業製品のため、品質や性能が安定しやすい
・木造に比べて耐震性に優れる ・シロアリによる食害やカビの影響などを受けにくい ・特に重量鉄骨造では柱や壁を少なくできるので、自由度の高い設計ができる |
鉄骨造のデメリット | ・軽量鉄骨造は比較的リーズナブルだが、重量鉄骨造は木造に比べて建築費が高くなりやすい
・鋼材の熱伝導率が高いため、断熱対策が欠かせない ・特に軽量鉄骨造では、火災が起きると鋼材が折れ曲がって、建物が倒壊する恐れがある |
鉄骨造は、木造に比べて耐震性や耐久性に優れる点が魅力です。また、軽量鉄骨造は比較的リーズナブルに建築できます。一方、鉄や鋼の性質上、断熱性や耐火性に課題があります。軽量鉄骨造は、一度火災が起きると建物ごと倒壊するケースも少なくないため、防火対策も欠かせません。
RC造のメリットとデメリット
RC造のメリット | ・高い耐震性を誇る
・耐火性が優れている ・遮音性と気密性が高く、外部の騒音や室内の音漏れが気になりにくい |
RC造のデメリット | ・建築費の坪単価が木造の約1.5倍と高コスト
・基礎工事や地盤改良工事などに時間がかかる ・調湿機能がなく通気性も劣るため、結露やカビが生じやすい ・間取り変更や増改築が難しい |
住宅性能だけでいえば、RC造は3つの工法のなかで最も優れています。その分、木造に比べてコストが高い点が最大のネックです。また、構造上後から間取りを変更するのが難しいため、後々のことも考えて十分に設計を練る必要があります。
地震対策に最適な工法とは?耐震性を重視した選び方
工法を選ぶうえで耐震性が気になる方も多いのではないでしょうか。地震対策に最適な工法はどれなのか、各工法の耐震性の違いをもとに考えてみましょう。
工法ごとの耐震性の違い
木造、鉄骨造、RC造それぞれに耐震性の特性が異なります。どのような違いがあるのか順番に紹介します。
木造の耐震性の特徴
「木造は耐震性が低い」と思われがちですが、決してそんなことはありません。むしろ木材は、ほかの建材よりも軽くてしなやかなため、柱の位置や筋交の数などを有効に設定しておけば、地震の揺れを吸収して逃がすことができます。軽量であればあるほど地震に強いともいえるので、木造住宅は基準となる耐震性能を確保しやすい点も特徴です。
ただし、現行の耐震基準である2000年基準は、それ以前の新耐震基準に比べて木造住宅に関する規定が大幅に強化されています。それだけに、2000年以前に建てられた木造住宅は、新耐震基準を満たしていても、十分な耐震性を有していない恐れがあるため注意しましょう。
鉄骨造の耐震性の特徴
鉄や鋼は粘りのある素材なので、地震のエネルギーを吸収し、住宅が変形するのを防ぐことができます。よって、地震の揺れで倒壊するリスクは低いといえるでしょう。その反面、地震の揺れが建物に伝わりやすい点はデメリットです。建物自体は倒壊を免れても、室内は揺れによって大きな被害が発生する場合もあります。
また、地震が原因で火災が発生すると、倒壊のリスクが一気に高まることにも注意が必要です。
RC造の耐震性の特徴
RC造は、引っ張る力に強い鉄筋と圧縮する力に強いコンクリートを組み合わせているため、縦揺れ・横揺れどちらにも強さを発揮します。耐震性の高さだけで考えれば、3つの工法のなかで最も優れています。
しかし、壁や柱の配置が偏っていると地震のエネルギーを効率的に逃がすことができず、建物の倒壊など大きな被害につながる恐れがあるため要注意です。
耐震性よりも耐震等級で選ぶべき理由
一般的に、耐震性は「RC造>鉄骨造>木造」の順に高いとされています。ただ、上述のとおり、工法によって耐震性の性質に違いがあるため、一概には言えません。
同じ構造で作れば木造の耐震性が劣るというだけで、重量が軽いことを上手に利用すれば、鉄骨造やRC造にも負けない耐震性をかなえることができます。室内の揺れを軽減したいなら、柱や壁の位置を工夫した木造のほうが、鉄骨造より優れているかもしれません。
耐震性を重視するのであれば、工法の違いよりも、耐震等級を高められる設計や間取りを重視すべきでしょう。例えば、最高レベルの耐震等級3の家であれば、木造であっても耐震基準の1.5倍に相当する地震力まで耐えることができます。
予算に合わせた工法選びのポイント
続いて、予算に合わせて工法を選ぶ際のポイントを見ていきましょう。
工法別建築単価の目安
国土交通省「令和6年分 地域別・構造別の工事費用表」によれば、工法別の建築費平米単価の全国平均は次のようになっています。
工法別の建築費平米単価(全国平均)
工法 | 平米単価 |
木造 | 20万7,000円 |
鉄骨造 | 29万4,000円 |
RC造 | 30万4,000円 |
(出典)国土交通省「地域別・構造別の工事費用表【令和6年分用】」
こうして見ると、RC造と木造では1.5倍もの差がある一方、鉄骨造とRC造ではそれほど大きな差はないことがわかります。コストを抑えたいのであれば木造が有利です。
大切なのは予算と品質のバランス
最低限の耐震性は確保することは前提として、予算とのバランスを考えながら工法を選ぶことが大切です。
木造が最もリーズナブルなのは確かですが、同じ木造でも耐震性の高い工法を採用すれば、当然費用は高くなります。住宅性能を高めようとすればするほど、鉄骨造やRC造と変わらない水準までコストがかさむ可能性もあります。予算と品質のバランスを考慮して、最適な工法を選ぶことにより、理想の家づくりを実現できるでしょう。
まとめ
木造はほかの工法に比べて耐震性や耐久性が劣ると考えがちですが、間取りや設計を工夫すれば、鉄骨造やRC造にも引けを取らない、安心な住まいをかなえることができます。しかし、性能を高めるほどコストは高くなるのが基本です。
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