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住宅ローン審査の審査基準や通るコツを紹介

住宅ローン審査の審査基準や通るコツを紹介
住宅の購入費用は簡単に捻出できるものではありません。そのため、多くの人が住宅ローンを利用します。しかし、住宅ローンは誰でもが利用できるとは限りません。と言うのも、ローンの利用には審査があるためです。その審査を通らなければローンは組めないのです。
それでは、ローンはどのような審査基準で行われているのでしょうか。
ここでは金融機関の住宅ローン審査基準と、審査を通るコツについて紹介します。
住宅ローン審査の審査基準
まずは住宅ローンの審査基準について取り上げましょう。
国土交通省の資料から
住宅ローンの審査は一般には知られていませんが、国土交通省が資料としてまとめています。
これは、国土交通省住宅局が公表した「民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」というもの。住宅ローンの利用が様々な角度から解説されています。
さて、この資料の中には「融資を行う際に考慮する項目」という項目があります。金融機関がどのような基準で審査をするかが分かる恰好です。
次に示す項目はその基準。令和5年度の資料に記載があった項目です。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 借入時年齢
- 年収
- 勤続年数
- 返済負担率
- 担保評価
- 金融機関の営業エリア
- 国籍
- 雇用形態
- 融資可能額(融資率)①購入の場合
- 融資可能額(融資率)②借換えの場合
- カードローン等の他の債務の状況や返済履歴
- 申込人との取引状況
- 業種
- 家族構成
- 雇用先の規模
- 所有資産
- 性別
- その他
ちなみに、この報告書では金融機関の重要視する項目について、次のようにも記載しています。
「令和5年度調査では、『完済時年齢』(98.5%)、『健康状態』(96.6%)、『借入時年齢』(96.0%)、『年収』(94.0%)、『勤続年数』(93.6%)、『返済負担率』(92.0%)、『担保評価』(91.8%)等について、引き続き9割以上の機関が融資を行う際の審査項目としている。」
それぞれについて次項にて説明しましょう。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001733623.pdf
主な審査基準について
前述の資料を見ると、金融機関が「完済時まで確実に返済してくれる人」を審査に通す可能性が高いことが伺えます。勤務先の規模などは確かにあるのですが重要性は薄くなっているようにも思えます。
それでは、これらの項目はどのように評価されるのでしょうか。
代表的な項目を解説しましょう。
完済時年齢
完済時年齢は非常に重要な項目です。
ローンが組める年齢を確かに公表はしていますが、金融機関にとってはリスクを抱える項目。返済にも影響し得る重大な項目なのです。
と言うのも、高齢になると重大な疾患にかかるリスクが高まるからです。場合によっては死亡も考えなければいけません。そのため、完済時年齢は非常に重要になるのです。
また、高齢になると収入が減ってしまうことも少なくありません。その場合は完済も難しくなるでしょう。
健康状態
健康状態も非常に大切です。
住宅ローンを組む時には団体信用保険に加入することになりますが、それでも健康状態は重要です。
健康状態が良くない人であれば、近い将来に健康状態が原因で返済困難にもなり得ます。
また特に、今では精神疾患からの自殺が問題になっています。健康状態が悪い場合にはローン利用者の死亡まで考えられ、返済ができなくなるのです。
借入時年齢
借入時の年齢はローンが始まってからの返済にも影響するのでチェックが入ります。
例えば、35年ローンを組む場合、20代前半の人であれば35年経っても定年前の年齢です。その人が失業さえしなければ収入は問題ないとも考えられます。
しかし、30代の人であれば70歳に手が届きます。定年後になるので収入が減ってしまい、返済が滞る可能性が出て来るのです。
年収
年収も重要な項目です。その人の支払い能力が十分にあるかのエビデンスとなるからです。
ただし、年収は前年度だけが問題になるとは限りません。数年分の収入を確認して来る場合が多いです。
これは収入の安定性を確認して来るため。利用者が安定して返済が可能かを判断して来るのです。
ちなみに、前の年だけの収入で判断してしまうと、その人の収入の安定性が確認できず、将来の返済も見通せません。やはり複数年の収入確認は金融機関にとって必要なのです。
勤続年数
勤続年数はその人の収入安定性に関係するので金融機関はチェックを入れます。
例えば、公務員のように収入の安定した立場であっても、簡単に辞めてしまう人であれば将来が不安です。しかし、勤務先を変えない人であれば将来の収入安定性が確認可能。将来の収入を見越すことも可能なのです。
返済負担率
返済負担率はその人の返済能力にも影響します。
仮に、返済負担率が高い場合には生活費に余裕がないこともあり得ます。将来的に何らかのアクシデントがあれば返済にも影響を及ぼしかねません。
しかし、返済負担率に余裕があれば、少々の問題が発生したからと言っても、返済には影響しないでしょう。金融機関としては安心して貸せるのです。
担保評価
金融機関は物件に抵当権を入れて来ます。
これは返済が困難になった場合に抵当権を発動させて物件を取るためです。ただ、その物件の価値が無いならば、仮に取ったとしても意味がありません。担保は価値があってこそ意味があるのです。
担保評価はその価値を確認するために行われます。物件を処分する場合にどれくらいの価値となるかを確認するのです。
住宅ローン審査を通すコツ
それでは、住宅ローンの審査を通すコツにはどのような手段があるのでしょうか。
代表的な手法を挙げてみましょう。
自己資金を増やす
自己資金を増やせば金融機関としても貸しやすくなります。
自己資金の比率が増えれば返済負担率も減りますし、完済時の年齢も若くなるからです。
また、自己資金が増えれば返済負担率も減ることでしょう。返済しやすくもなります。
いずれにせよ、金融機関にとってのリスクは減ります。審査も通りやすくなるのです。
他のローン返済を終わらせる
他のローンがあれば返済比率が下がる可能性が出て来るので、金融機関としてのリスクが上がります。貸しにくくなるのです。
その一方で他のローンを終わらせてしまえば返済負担率も好転します。金融機関としても貸しやすくなり、審査のハードルも低くなるのです。
不動産会社が紹介する金融機関にする
不動産会社の多くは金融機関と提携しています。
そのため、物件の情報は金融機関に行きやすいです。これは、不動産会社が販売する物件は担保価値が十分であることを意味します。つまり、担保価値での問題がなくなるのです。
金融機関としても担保が十分な価値を持てば貸しやすくなります。審査に通りやすくなるのです。
ペアローンの利用
ペアローンを使えば審査に通りやすくなります。
これは1人の返済負担が減るためです。
例えば、年収が600万円の人であれば返済の原資が600万円のままです。しかし、例えば配偶者とペアローンとすれば400万円増えて、原資が1,000万円にもなります。それによって返済負担率も低くなり、金融機関としても安心して貸せます。審査も通りやすくなるのです。
まとめ
住宅ローン審査について取り上げました。
金融機関がどのような点で評価をするかが分かったのではないでしょうか。また、そのことから審査を通すコツも理解できたのではないでしょうか。
ともかくとして、金融機関は返済が滞ることを恐れて審査をきつくします。逆に言うならば返済がしやすくなる条件を加えてやれば金融機関としてのリスクが減り、審査も通しやすくなります。
金融機関のリスク回避と審査は大きく関係します。金融機関のリスクを考えることが最初に必要になるでしょう。