Columnコラム
住宅の耐震基準とは?耐震等級の違いと地震に強い家のポイントを解説
近年大きな地震が相次いで発生していることから、注文住宅を建てるに際して耐震性が気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、住宅の耐震基準や耐震等級、さらには制震(制振)や免震といった地震対策の方法について、わかりやすく解説します。
また、地震に強い家を建てるためのポイントや、耐震性を高める際の注意点なども紹介します。
地震の多い日本では、地震に強い家づくりはとても大切です。
家の耐震性に関する正しい基礎知識を身につけ、これから建てる家の安全性を適切に判断できるようになりましょう。
住宅の耐震基準はどうなっているの?
住宅の耐震基準とその目的
住宅の耐震基準は、安全な住まいを確保するための重要な指標です。
地震大国である日本においては、建築基準法によって最低限クリアすべき基準として定められています。
この基準の主な目的は、大地震発生時に建物が即座に崩壊・倒壊することを防ぎ、居住者の命を守ることです。
現在の耐震基準は、1981年6月1日に施行された「新耐震基準」が基本となっています。
この基準では、建物に対して以下の2つの性能が要求されています。
- 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する大地震(震度6強から7程度)に対して、倒壊・崩壊しないこと
- 稀に(数十年に一度程度)発生する地震(震度5強程度)に対して、損傷が生じないこと
この基準は、建物を完全に守ることではなく、特に大地震の際に人命を守ることに重点が置かれています。
つまり、建物が多少損傷しても、崩壊や倒壊を防ぎ、住人が安全に避難できる時間を確保することを目的としているのです。
さらに、2000年には主に木造住宅の耐震性向上を目的とした法改正が行われ、今後、2025年4月には木造建築物に対してさらに厳格な耐震基準が適用される予定です。
これにより、木造住宅の安全性が一層強化されることが期待されています。
耐震基準と耐震等級との違いは?
耐震基準に似た言葉で耐震等級という指標があります。
耐震基準と耐震等級は、どちらも建物の耐震性に関する指標ですが、その位置づけと役割が違います。
耐震基準は、前述したように建築基準法で定められた最低限の安全基準です。
すべての新築建物は、少なくともこの基準を満たしていなければなりません。
一方、耐震等級は、2000年に制定された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて定められた、より詳細な耐震性能の指標です。
耐震等級は、建物の耐震性能を以下の3段階で評価します。
- 耐震等級1:建築基準法の耐震基準と同等の性能
- 耐震等級2:耐震基準の1.25倍の耐震性能
- 耐震等級3:耐震基準の1.5倍の耐震性能
耐震等級が高いほど、より強い地震に耐えられる構造となるわけです。
耐震等級3の建物は、震度6から7程度の大地震でも、建物の損傷を最小限に抑え、住み続けられる可能性が高くなります。
2016年の熊本地震では、耐震等級3の木造住宅に大きな損傷が見られなかったという調査結果もあり、高い耐震等級の有効性が実証されています。
耐震と制震と免震の違いは?
建物を地震から守る仕組みには、耐震のほかに免震、制振があります。
耐震、制震、免震は、いずれも地震から建物と居住者を守るための方法ですが、それぞれアプローチが異なります。
耐震構造は、建物自体の強度を高めることで地震の揺れに耐える方法です。
具体的には、耐力壁を適切に配置したり、接合部を強化したりすることで、建物全体の剛性を高めます。この方法は、最も一般的で基本的な地震対策です。
制震構造は、建物内に特殊な装置(ダンパーなど)を設置し、地震の揺れを吸収または低減する方法です。
地震エネルギーを熱エネルギーに変換することで、建物の揺れを抑制します。
高層ビルなどで採用されることが多く、建物の変形を抑えつつ、家具の転倒なども防ぐ効果があります。
免震構造は、建物と地盤の間に免震装置(積層ゴムなど)を設置し、地震の揺れが建物に直接伝わるのを防ぐ方法です。
建物全体を地面から切り離すことで、地震の揺れを大幅に軽減できます。
病院や重要な設備がある建物で採用されることが多く、建物内の揺れを最小限に抑える効果があります。
各構造には特徴があり、建物の用途や立地条件、コストなどを考慮して選択されます。
多くの場合、これらの方法を組み合わせることで、より効果的な地震対策が可能となります。
地震に強い家の特徴とは?
地震大国である日本において、耐震性の高い家を建てることは、居住者の安全を確保する上で極めて重要です。
地震に強い家を建てるためには、いくつかの要素があります。
これらの要素を適切に検討することで、地震に強い安全な住まいを実現することができます。
順に見ていきましょう。
シンプルな構造・形状
正方形や長方形のようなシンプルな形状の建物は、地震の揺れを均等に分散できるため、耐震性が高くなります。
一方で、複雑な形状の建物は、地震のエネルギーが特定の箇所に集中しやすく、耐震性が低くなりがちです。
低い建物の高さ
建物の高さが低いと、地震の揺れが小さくなり、影響を軽減できます。
そのため、平屋住宅は、高層の住宅と比べると揺れによる影響を受けにくく、地震に対する安全性を確保しやすい住宅といえます。
なるべく軽量な建物
軽量な素材を採用することで、地震時の建物への負担を軽減できます。
重い外壁材や屋根材を使用すると、地震の揺れに対する影響が大きくなり、倒壊のリスクが高まる可能性があるからです。
そのため、軽量な外壁材や屋根材を選択することが、地震に強い住宅づくりの重要なポイントとなります。
強固な地盤
強固な地盤は、地震時に地面が液状化して建物が沈むリスクを防ぎます。
また、強固な地盤は柔らかい地盤に比べて揺れの影響が少なく、建物がより安定する傾向があります。
耐震性の高い家の検討にはバランスが大事!
耐震基準や耐震等級は住む人の命や財産を守る指標です。
特に、より地震に強い家に住みたいと思っている人にとって、耐震等級は家選びの際の良い目安になるでしょう。
ただし、耐震等級の高い家を建てるには、いくつか考えなければならないことがあります。
まず、建物を強くするためにはお金がかかります。
建築費用が上がるのはもちろん、等級の調査・認定にも費用が必要になります。
また、家を強くするために壁を増やしたり、柱を大きくしたりすると、部屋の間取りや家のデザインに制限が出てくる可能性もあります。
自分で家を建てる場合、耐震等級を自分で選ぶことができます。
地震に強い家を建てることは理想的ですが、予算や住み心地とのバランスを慎重に考慮することが大切です。
まとめ
今回は住宅の耐震基準や耐震等級、地震に強い家を建てるためのポイントについて詳しく解説してきました。
地震が多い日本において、耐震性の高い住宅は非常に重要です。
住宅の耐震基準や耐震等級をしっかりと確保し、家族が安心して暮らせる住まいを実現しましょう。
ただ、高い耐震性を求めると、コストアップや設計の制限が生じる可能性があります。
そのため、安全性と快適性のバランスを考えた上で、最適な選択をすることが大切です。
ユピテルはうす関西では、お客様のご希望に応じて、耐震等級3の住宅のご提案も可能です。
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