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地盤調査とは?目的、方法、重要性を分かりやすく解説
地盤調査とは?目的、方法、重要性を分かりやすく解説
家の着工前には必ず「地盤調査」が行われます。そして、地盤調査の結果によってはその後改良工事を行わなければなりません。
なぜ地盤調査が必要になるのか、その目的がわかっていない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、地盤調査とはなにか、目的や費用、調査方法、調査後の改良工事について解説していきます。
地盤調査とは?
地盤調査とは、建物を建てる前に地盤の状態を確認するためのものです。
もし建築予定の土地が軟弱な地盤だと、住宅を建てた時に地盤沈下が発生するなどの危険性があります。そのリスクを回避するために、地盤調査を行ってその土地の地盤の強さを確かめなければなりません。
新築物件は地盤調査が義務
2000年の建築基準法の改正と、同年施行の住宅の品質確保の促進などに関する法律(品確法)により、新築物件は地盤調査が実質義務付けられることとなりました。
そのため、注文住宅を建てる場合でも地盤調査が必要です。ハウスメーカーによっては地盤調査結果をもとにプランを作成することもあります。どのタイミングで地盤調査を行うのかを前もって確認しておきましょう。
地盤調査の期間と費用負担
地盤調査にかかる期間や負担する費用は、調査方法によって異なります。
一戸建て住宅でよく採用されている「スウェーデン式サウンディング試験」だと、半日〜1日程度の調査期間で、費用は大体5〜10万円程度。「ボーリング調査」だと、1日〜数日程度で、20〜30万円程度の費用がかかります。
だた、土地の広さや地盤の状態によっては予定よりも多くの時間をようすることもあります。また、調査終了後に正確な地盤調査報告書が出るまでにさらに数日かかることもあるでしょう。
調査の結果、改良工事が必要になるとさらに50〜100万円程度の工事費用も発生します。
新築住宅での地盤調査の目的
新築住宅を実施する上で行われる地盤調査には、以下の7つの調査目的があります。
- どのような地盤構成になっているのか
- 地盤がどのくらいの強度なのか
- 住宅の基礎設計に影響する地盤支持力
- 粒子の大きさや混ざり具合などの土質
- 地盤の強度や支持力、変形の有無、揺れやすさ
- 地下水位が高いのか低いのか
- 地震の揺れによって液状化しやすいかどうか
住宅設計を担当する建築士が、土地状況・地盤関連資料の有無・設計内容などを総合的に考えたうえで、「この土地には上記のどの目的とした調査が必要か」を判断します。
地盤調査の方法
地盤調査には主に2種類あります。
- スウェーデン式サウンディング試験
- ボーリング調査
それぞれの調査方法について見ていきましょう。
スウェーデン式サウンディング試験
スウェーデン式サウンディング試験は、ロッドと呼ばれる鉄の棒を地面に貫入させ、おもりを乗せて回転させた時の沈む方を見て地盤の硬軟を判定する試験です。
一戸建てだと、建物の四隅と中央部分の5〜7地点・深度10m程度を測定します。
この試験は、調査期間が短く、費用も比較的安価なので一戸建て住宅でよく採用されています。ちなみに、2020年10月26日のJIS改正により、正式名称がスクリューウエイト貫入試験へと名前が変更されました。
ボーリング調査
ボーリング調査は、ボーリング機械を使って地面に開けた穴にハンマーを落下させて、地盤の硬軟を判定する試験です。
地盤の深い部分まで調査できて土も採取できるので、地盤のもつ強度や危険性を正確に把握できます。またスウェーデン式サウンディング試験だと地層が硬すぎると深い部分まで調査できませんが、ボーリング調査なら硬い地盤や瓦礫などがたくさん埋まっている土地も調査が可能です。細かい調査ができる分、費用は高く、調査期間も長くなります。
地盤調査の結果によっては改良工事が必要
地盤調査の結果から地盤に問題が見られる場合、地盤の改良工事をしなければなりません。
一戸建ての地層で採用される改良工事を表にまとめてみました。
表層改良工法 | 比較的浅い場所に硬い地盤がある地層に適している。
地下2m程度までセメント系の固化材を流し込む。 建物の面積20坪程度に対して、50万円程度かかる。 |
柱状改良工法 | 弱い地盤が地表から8m以内に収まっている場合に用いられる工法。
地面に開けた穴にセメント・水・土を差し込んでコンクリート製の柱を作る地盤補強方法。 建物の面積20坪程度に対して、100万円程度かかる。 |
鋼管杭工法 | 地面に開けた穴へ鋼管を打ち込んで、地盤を補強する方法。
地表から30m程度の深い地層まで地盤を補強できる。 建物の面積20坪程度に対して、100万円程度かかる。 |
地盤改良工事は高額な費用がかかります。
家づくりの際には、地盤改良工事も必要になった時も考慮して予算に余裕を持たせておくようにしましょう。
地盤調査・改良工事の費用を抑える方法
地盤調査と改良工事は、あらかじめ予算に組み込んでおくことが重要ですが、できれば費用を抑えたいと思う方も多いでしょう。
地盤調査にかかる費用をおさえるなら、以下の方法に取り組んでみるのもおすすめです。
- 地盤の強い土地を選ぶ(水辺の近くは軟弱な地盤の可能性が高い)
- 既存の地盤データを確認する(地盤サポートマップや国土地盤情報検索サイトなどで調べられる)
- 地盤調査報告書の見方を知る
- 地盤調査結果に疑問がある場合は、セカンドオピニオンに頼る
上記のような方法を取ることにより、費用を安く抑えられる可能性があります。
まとめ
地盤改良工事は、家を建てる前に土地の地盤に問題があるかどうかを確認するための調査です。
一度の調査で費用が発生しますが、安全に家を建てるためにもこの調査は非常に重要になってきます。また、地盤調査の結果によって改良工事が必要になった場合も高額な費用が発生します。
費用を抑えたい方は、既存の地盤データを確認するなど時間をかけることで地盤が強い土地を見つけられる可能性もあるでしょう。
不動産会社や住宅会社の担当者に相談しながら、地盤の強い土地を根気強く探してみるのもおすすめです。